目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保

次の文章は,再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保に関する記述である。

固定価格買取り制度

我が国において,固定価格買取り制度の導入後,太陽電池発電設備,風力発電設備等の再生可能エネルギー発電設備の導入件数が増加し,その多くは太陽電池発電である。

また,資源エネルギー庁の調べによれば,太陽電池発電設備及び風力発電設備の出力別の導入件数では,それらの多くが一定の出力未満(太陽電池 50 kW 未満,風力 20 kW 未満)の小出力発電設備である。

電気保安統計

電気保安統計によれば,太陽電池発電設備については,事故件数や事故率ともに増加している。

また,小出力発電設備を含む再生可能エネルギー発電設備の事故が社会的影響を及ぼした事案も発生している。

再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保

再生可能エネルギー発電設備の電気に係る保安の確保が不可欠であり,事故情報を収集し事故原因の究明や再発防止策を講じることが必要である。

自家用電気工作物の太陽電池発電設備の点検をする際の留意事項

太陽電池セルには,日射量が多い時間帯でなくても定格に近い電圧が発生しているため,絶縁抵抗測定等に際しては,作業の安全性に十分注意を払い,適切な保護具を着用し,安全手順に従うことが不可欠である。

電流が流れた状態で断路器を開放するとアーク放電を起こす可能性がある。いったん生じた直流のアーク放電を消弧するのが難しいので,まずパワーコンディショナの停止操作などにより,太陽電池発電システムを遮断する必要がある。

electrical-engineer.hatenablog.jp

バイパス回路が故障を起こしていると,太陽電池モジュールの一部がゴミや汚れ,影等で発電できなくなった場合などに,発電効率が低下するだけでなく,太陽電池モジュール内のその部分のセルが負荷となり,過熱し,焼損に至る可能性がある。

近年では,太陽電池モジュールの火災リスクの増大などを回避するため,竣工検査及び定期点検において,全てのバイパス回路がその機能を保持していることを確認することが望ましいとされている。

なお,雷の影響を受けた可能性がある場合には,定期点検を待たずに機能確認を実施した方がよいとされる。

事故報告

このため,新たに,太陽電池発電設備(10 kW 以上 50 kW 未満)及び風力発電設備(20 kW 未満)の小出力発電設備についても,それらの所有者や占有者には,令和3年4月1日から電気事業法に基づく事故報告を行うことが義務付けられた。

本報告の対象となる事故は,感電などによる死傷事故,電気火災事故,他の物件への損傷事故,主要電気工作物の破損事故,の四項目である。

参考文献

更新履歴

  • 2022年9月17日 新規作成
  • 2024年9月1日 参考文献に「令和6年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問7」を追加