「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく油(絶縁油)の公害等の防止に関する記述である。
PCB とは
ポリ塩化ビフェニル (PCB : Poly Chlorinated Biphenyl)*1 を含有する絶縁油を有する電気機械器具及び電線は,電路に施設してはならない。
PCB の毒性
PCB は脂肪に溶けやすいという性質から,慢性的な摂取により体内に徐々に蓄積し,様々な症状を引き起こすことが報告されている。
PCB が大きく取り上げられる契機となった事件として,1968 年(昭和 43 年)に食用油の製造過程において熱媒体として使用された PCB が混入し,健康被害を発生させたカネミ油症事件がある。
カネミ油症は,昭和43年10月に,西日本を中心に,広域にわたって発生した,ライスオイル(米ぬか油)による食中毒事件である。
症状は,吹出物,色素沈着,目やになどの皮膚症状のほか,全身の倦怠感,しびれ感,食欲不振など多様である。
法令
ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法
PCB 廃棄物の保管の長期化により,紛失や漏洩などによる環境汚染の進行が懸念されたことから,それらの確実かつ適正な処理を推進するため,平成13年6月22日に「ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法」(PCB 特措法)が交付され,同年7月15日から施行された。
第一条 目的
この法律は、ポリ塩化ビフェニルが難分解性の性状を有し、かつ、人の健康及び生活環境に係る被害を生ずるおそれがある物質であること並びに我が国においてポリ塩化ビフェニル廃棄物が長期にわたり処分されていない状況にあることにかんがみ、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の保管、処分等について必要な規制等を行うとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の処理のための必要な体制を速やかに整備することにより、その確実かつ適正な処理を推進し、もって国民の健康の保護及び生活環境の保全を図ることを目的とする。
電気設備技術基準
電気設備技術基準 第19条【公害等の防止】第14項
ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油を使用する電気機械器具は,電路に使用してはならない。
ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油とは,絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの量が試料 1 kg につき 0.5 mg 以下である絶縁油以外のものである。
電気設備技術基準の解釈
電気設備技術基準の解釈 第32条【ポリ塩化ビフェニル使用電気機械器具の施設禁止】
ポリ塩化ビフェニルを含有する絶縁油とは,絶縁油に含まれるポリ塩化ビフェニルの量が試料 1 kg につき 0.5 mg 以下である絶縁油以外のものである。
水質汚染防止法の規定による貯油施設等*2を設置する発電所又は変電所,開閉所若しくはこれらに準ずる場所には,貯油施設等の破損その他の事故が発生し,油を含む水が当該設置場所から公共用水域に排出され,又は地下に浸透したことにより生活環境に係る被害を生ずるおそれがないよう,適切な措置を講じなければならない。
参考文献
- 水質汚濁防止法 | e-Gov法令検索
- 環境省「ポリ塩化ビフェニル (PCB) 早期処理情報サイト~期限内の安全な処理に向けて~」
- 令和4年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 法規 問2「油(絶縁油)の公害等の防止」
更新履歴
- 2022年9月18日 新規作成
- 2024年10月4日 参考文献に「ポリ塩化ビフェニル (PCB) 早期処理情報サイト」を追加