リラクタンスモータは,計算機設計ツールの普及やパワーエレクトロニクス技術の発展などによって,近年実用化が進んでいる。
永久磁石を用いないリアクタンスモータは,構造的にシンクロナスリラクタンスモータ(SynRM)とスイッチトリラクタンスモータ(SRM)に分けられる。
ともに突極性を有し,回転子位置に応じて変化するリラクタンス(磁気抵抗)に基づくトルクによって回転する。
シンクロナスリラクタンスモータの固定子構造は,従来の交流機と同様に固定子のスロットに分布巻コイルが配置され,三相交流の給電によってギャップに正弦波分布した回転磁界を発生する。
強磁性体で作られた回転子は,発生した回転磁界に同期してその磁気抵抗が最小になるように回転する。
負荷がかかると回転子は回転磁界より負荷角 $\delta$ だけ遅れ,この角度は負荷の大きさに依存する。
回転子構造は突極構造を実現するため,種々の形状が提案されている。磁気抵抗の小さい軸を $d$ 軸,大きい軸を $q$ 軸とし,対応するインダクタンスをそれぞれ $d$ 軸リアクタンス $L_d$,$q$ 軸インダクタンス $L_q$ とすれば,両者の比 $\displaystyle \frac{L_d}{L_q}$ を突極比と呼ぶ。
トルク対電流の比,力率及び効率の向上のためには,突極比の大きいことが望まれる。
一方,スイッチトリラクタンスモータの基本構造は,固定子,回転子とも突極構造をなし,固定子には集中巻コイルが配置される。
固定子,回転子の突極数については種々の組み合わせがある。
その動作は,固定子突極に対して回転子突極がその磁気抵抗を最小にするように,非対向状態から対向状態にトルクを発生させる。
その対向直前で次の相に励磁を切り換え,回転を維持する。
参考文献
更新履歴
- 2022年7月27日 新規作成