太陽光発電システム用パワーコンディショナ(PCS)は太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換し,交流系統に接続された負荷設備に電力を供給するとともに,余剰電力を系統に供給する装置である。
PCS は直交変換だけでなく,様々な機能を有している。
太陽電池モジュールは,特有の電圧電流特性を持つため,電圧と電流の積である発電電力を最大とする動作電圧が存在する。
最大電力点追従(MPPT)制御はモジュールから最大限の電力を引き出すための制御であり,PCS の大きな特徴でもある。
いかにその制御の一例を示す。
電池の出力電力が $P_0$ で運転されているものとする。
電圧を微小に減少させたときの出力電力 $P_1$ を計測してから,電圧を元に戻し,そのときの出力電力 $P_2$ を計測する。
$P_0 \lt P_1$,$P_1 \gt P_2$ を条件 1,$P_0 \gt P_1$,$P_1 \lt P_2$ を条件 2 とするとき,条件 1 を満足する場合には,動作電圧を減少させ,条件 2 を満足する場合は動作電圧を増加させる。
条件 1,2 ともに満足しない場合は,雲などの影響による日射強度の一時的な変動があったものとして動作電圧を変更しない。
この操作を一定時間間隔で行い常に最大電力点で動作するように制御する。
配電系統が停止した場合,発電電力と負荷電力が概ね平衡していると,電圧リレー(OVR,UVR)や周波数リレー(OFR,UFR)では停電を検出できず系統に電力を供給し続けることがある。
これを単独運転という。
PCS にはこのような運転状態を防止する機能が設けられており,その検出方法には,電圧波形や位相などの変化を捉える受動的方式と,電圧や周波数に変動を与え単独運転移行時にこの変動が顕著となることを利用する能動的方式がある。
また,太陽光発電システムが系統から解列された状態で運転することを自立運転といい,PCS は MPPT 制御から出力電圧一定制御に切り替わる。
参考文献
更新履歴
- 2022年7月28日 新規作成