目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

原子力発電安全設計の考え方

原子力発電に伴い,放射能を持つ多量の核分裂生成物が発生する。

発電用原子炉には,万一の事故や故障が発生した際にも,この核分裂生成物を外部環境に放出させないよう 5 重の障壁が設けられている。

第 1 の壁「燃料のペレット」

第 1 の壁は,燃料のペレットである。

これは,二酸化ウランを高温で陶器のように焼き固めたもので,核分裂生成物はこの中で生じるが,あまり移動せず大部分はこの中に留まる。

第 2 の壁「燃料の被覆管」

第 2 の壁は,燃料の被覆管である。

これは,第 1 の壁を更に機械的に丈夫なジルコニウム合金製のもので覆ったものである。

このようにして核分裂生成物は,本来燃料棒自体の内部に閉じ込められる。

第 3 の壁「冷却材圧力バウンダリー

第 3 の壁は,冷却材圧力バウンダリーである。

これは燃料を収納する厚いステンレス製の原子炉圧力容器及び原子炉冷却材の配管等であり,燃料棒から核分裂生成物が漏れても,それを含む原子炉冷却材が外部に漏えいしないようにしている。

第 4 の壁「原子炉格納容器」

第 4 の壁は,原子炉等主要な機器を収納する鋼鉄製の原子炉格納容器である。

第 5 の壁「外部遮へい壁あるいは原子炉建屋」

最後の第 5 の壁は,厚いコンクリートで造られた外部遮へい壁あるいは原子炉建屋である。

これらによって,万一,第 3 の壁から漏えいがあっても外部環境には出て行かないようにしている。

参考文献

king-masashi.hatenablog.com

更新履歴

  • 2022年6月22日 新規作成
  • 2022年7月9日 参考文献に『失敗の科学』を追加