原子力規制委員会は,原子炉等の設計を審査するための新しい基準を作成し,その運用を行っている。
いわゆる「新規性基準」は,東京電力福島第一原子力発電所の事故の反省や国内外からの指摘を踏まえて策定された。
以前の基準の主な問題点
新規制基準以前の基準の主な問題点として,以下のことが挙げられていた。
- 地震や津波等の大規模な自然災害の対策が不十分であり,また重大事故対策が規制の対象となっていなかったため,十分な対策がなされてこなかったこと
- 新しく基準を策定しても,既設の原子力施設にさかのぼって適用する法律上の仕組みがなく,最新の基準に適合することが要求されなかったこと
新規制基準は,これらの問題点を解消して策定された。
福島第一原発事故以前の安全規制への指摘
- 外部事象も考慮したシビアアクシデント対策が十分な検討を経ないまま,事業者の自主性に任されてきた。(国会事故調)
- 設置許可された原発に対してさかのぼって適用する(「バックフィット」といわれる)法的仕組みは何もなかった。(国会事故調)
- 日本では、積極的に海外の知見を導入し,不確実なリスクに対応して安全の向上を目指す姿勢に欠けていた。(国会事故調)
- 地震や津波に対する安全評価を始めとして,事故の起因となる可能性がある火災,火山,斜面崩落等の外部事象を含めた総合的なリスク評価は行われていなかった。(政府事故調)
- 複数の法律の適用や所掌官庁の分散による弊害のないよう,一元的な法体系となることが望ましい。(国会事故調)
新規制基準の位置づけ
この新規制基準は原子力施設の設置や運転等の可否を判断するためのものである。
しかし,これを満たすことによって絶対的な安全性が確保できるわけではない。
原子力の安全には終わりはなく,常により高いレベルのものを目指し続けていく必要がある。
原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合
2024年7月26日現在,27 基の原子力発電所が申請し,17 基が合格。
第1272回 原子力発電所の新規制基準適合性に係る審査会合
原子力規制委員会は,2024年7月26日の審査会合で,日本原子力発電株式会社 敦賀原子力発電所 2 号機(福井県)の原子炉直下に活断層があることを否定できず,新規制基準に適合しないと結論付けた。
審査では敷地内を通る「K 断層」が活断層であるか,原子炉建屋の下まで延びているかが焦点だった。
原子力規制委員会は,日本原子力発電の提出資料などを精査し,いずれの可能性も否定できないとした。
敦賀原子力発電所 2 号機を廃炉にするかどうかは,事業者である日本原子力発電に委ねられる。
同日,日本原子力発電所はプレスリリースで,引き続き,敦賀発電所2号機の稼働に向けて取り組むことを発表した。
当社はこれまでに,K断層の活動性及び連続性を否定するために様々なデータを提出してきました。これまでの審査会合や現地調査での議論を踏まえ,今後も追加調査やデータの拡充に取り組んでまいります。
参考文献
- 原子力規制委員会 Nuclear Regulation Authority
- 原子力規制委員会,「実用発電用原子炉に係る新規制基準について-概要-」
- 日本原子力発電株式会社,「(当社コメント)敦賀発電所2号機の新規制基準適合性審査に係る当社の対応について」