タスク管理
オペレーティングシステムは,複数のタスクに対して,優先度に基づき CPU やメモリ,通信インターフェースなどのハードウェア資源を効率的に割り当て,システム全体の遊び時間を少なくすることでスループットを高めている。
このように,タスクを管理して,ハードウェア資源を有効活用する機能をタスク管理という。
タスクは生成されると,実行可能状態となる。
実行状態にあるタスクから CPU の占有が解かれると,タスクディスパッチャが実行可能状態にあるタスクの中から最も優先度の高いタスクに CPU の使用権を与え,実行状態に移行させる。
複数のタスクを切替えて実行する場合,タスクの切替えタイミングが重要となる。
一例として,外部や内部の割込みにより発生する状態変化のタイミングを用いるイベントドリブン方式がある。
タスクの実行順序は,FIFO と呼ばれる構造の待ち行列にタスクを格納して処理を行う到着順方式や,処理時間の短いタスクを最初に実行する処理時間順方式がある。
その他に,あらかじめタスクに優先度を付与しておき,優先順位に従って処理する方法がある。
しかしこの方式では,優先度の低いタスクが実行されないスタベーションと呼ばれる現象が起こる可能性があり,動的に優先度を変更する対策などが行われる。
ラウンドロビン
マルチタスクの実行順序に関するタイムスケジューリングの一方式で,優先度を設定せず,均等に CPU の実行時間をタスクに割り当て,CPU の使用権を開放されたタスクは,タスク郡の最後に回って実行順序を待つ方式。
スワッピング
限られた格納領域をもつ主記憶装置に,プログラムやデータをロードする領域を有効に割り当てる記憶管理の一方式で,主記憶と補助記憶の内容を入れ替えながら,優先順位の高いジョブを優先的に主記憶にロードする方式。
トランザクションファイル
業務処理などによって,イベントなど逐次発生するデータを一時的に保管しておくためのファイル。
ブート
電子計算機の電源を入れたときに,オペレーティングシステムを起動するまでの処理の流れ。
スプール
時間のかかる入出力装置などの入出力処理において,一時的にデータを補助記憶装置に出力し,少しずつ処理させることで,処理効率を高める機能。
参考文献
- 令和2年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 機械 問8
- 平成22年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問7「電子計算機のオペレーティングシステム」
更新履歴
- 2022年1月18日 新規作成
- 2022年7月10日 参考文献に「平成22年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問7」を追加