メカトロニクス装置は,コンピュータやエレクトロニクスを駆使した高度化された機械である。
メカトロニクスシステムの基本構成は,制御対象である連続時間システムとデジタル制御である離散時間システムとが含まれる図 1 に示すような構成が一般的である。
このようなシステムは,デジタル制御演算機からみたモデルとして,$z$ 変換を用いてパルス伝達関数で表現することによって,制御対象とデジタル制御演算器とが統一的に解析できる。
すなわち,図 2 のサンプリング周期 $T$ をもつ D/A 変換器で,零次ホールド要素 $G_0 (s)$ と伝達関数 $G(s)$ とをカスケード結合している連続時間システムに対するパルス伝達関数 $G^{*}(z)$ は,
\[ G_0 (s)= \frac{1 - e^{-sT}}{s} \]
であるので,
\[ G^{*}(z)=Z[G_0 (s)G(s)]=(1-z^{-1})Z[\frac{G(s)}{s}] \]
と表現できる。
同様に,デジタル制御演算器に合わせて図 1 の A/D 変換器もパルス伝達関数で表現することによって統一的な解析が可能である。
このような解析において,A/D 変換器の前段では,サンプリング周波数の $\displaystyle \frac{1}{2}$ の周波数であるナイキスト周波数と呼ばれる周波数以上の成分を,急峻に減衰させるフィルタを設けたことでエイリアシング現象を防止することを前提にしている。
さらに,対象となる A/D 変換器では,アナログ量をサンプリングして有限のビット数からなるデジタル値に変換することによる量子化誤差が無視できることを前提に扱われている。
参考文献
更新履歴
- 2022年7月17日 新規作成
- 2023年2月3日 誤記を訂正