目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

変電所母線などの結線方式

変電所母線(bus-bar)などの結線方式には,単母線方式,複母線方式(二重母線方式),ユニット方式などがあるが,結線方法の選定の一般的な考え方と特徴について述べる。

母線結線方式

変電所や開閉所の母線結線方式は,電力系統の要として,その機能を十分に発揮できるよう,電源系統から送電系統,配電系統までの特性に応じて,系統の信頼度,系統運用の融通性,運転・保守などを総合的に検討し,系統構成と十分協調のとれた方式を採用する必要がある。

変電所の結線方式を決定する際に考慮すべきこと

変電所の母線結線方式を決定する際に考慮すべきことを以下に示す。

  • 送電線事故,母線事故時の系統への影響・供給信頼性
  • 変化する電源,送電線工事に対応する適応性
  • 送電線や変圧器の増設工事における安全性
  • 点検等による停止の難易など系統運用操作の容易性
  • 設置スペースなども含めた経済性

単母線方式の長所・短所

単母線方式(Single bus arrangemnet)は,複母線方式に比べ,所要機器は少ないため,変電所スペースは小さくなる。

経済的に有利で,機器の信頼性向上とあいまって一般的に広く用いられている。

しかし,母線事故が生じると,当該母線が停止し,母線に接続されている送電線や変圧器も停止する(ただし,母線事故は稀頻度事故である)。

また,保守面では,母線側断路器等の点検のために全停電となる場合がある。

図 単母線方式

図 単母線方式

複母線方式の長所・短所

複母線方式(Doubule bus arrangement)は,二重母線,三重母線,四重母線などがあるが,一般的には二重母線が採用され,母線間に母線連絡用開閉器(ブスタイ)を有している。

複母線方式は,単母線方式に比べ,所要機器(断路器や鉄構)は多いため,変電所スペースは大きくなる。

一方,母線事故時,当該母線に接続されている送電線や変圧器を,もう一方の母線に直ちに切り替え可能である。

図 複母線方式

図 複母線方式

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保守面では,単母線に比べ,複母線変電所では,設備停止が容易になる。

二重母線 1 ブスタイ方式

二重母線 1 ブスタイ方式(Double bus 1 bus tie arrangement)は,二重母線に 1 ブスタイ(母線連絡)がある方式である。

複母線方式のうち,二重母線 1 ブスタイ方式は,上位系統の変電所に採用される。

図 二重母線1ブスタイ方式

図 二重母線1ブスタイ方式

特に主要な基幹系統の変電所には二重母線の特徴を生かし,一層の信頼度向上を図るため,後に述べる二重母線 4 ブスタイ方式,1 1/2 遮断器方式が採用されている。

二重母線 4 ブスタイ方式

二重母線 4 ブスタイ方式の特徴は,母線事故時に 1/4 母線の停止となり系統への影響が極めて少ない。

電源立地,送電事情などによって変化する系統構成に合わせて段階的に対応できること,系統運用のフレキシビリティに富む。

二重母線 1・1/2 LS 方式

二重母線 1・1/2 LS 方式(Double bus 1・1/2 LS arrangement)は,母線間に 3 つの断路器がある方式である。

図 二重母線 1・1/2 LS 方式

図 二重母線 1・1/2 LS 方式

ユニット方式

過密地区の変電所は地下式または屋内式が多く重要負荷に供給されている。

このような変電所の結線方式としては,変圧器の一次側の母線をもたないユニット方式(Unit arrangement,変圧器 DS ユニット方式)が広く採用されている。

一般に,過密地区の供給はケーブル系統で行われているので,この方式を採用すれば信頼度が高く,送電容量の面からも変圧器の対応,組合せが取りやすくなる。

また,供給上も 2 バンク以上の同時停止をなくし事故波及を防止でき,構成が単純で運転・保守がやりやすくなる。

ユニット方式の単線結線図を下図に示す。

図 ユニット方式

図 ユニット方式

ユニット方式は、変圧器と遮断器・断路器などの開閉装置を一体のユニットとして構成する結線方式であり、主に中小規模の変電所や特定用途の電力設備で採用される。

変圧器ごとに独立したユニットを形成するため、保守性や拡張性に優れる。

ユニット方式の構成概要

ユニット方式では,以下の機器が 1 つのユニットとして構成される。

  • 変圧器 (Transformer)
  • 遮断器 (Circuit Breaker)
  • 断路器 (Disconnector)
  • 保護リレー (Protection Relay)

ユニット方式の特徴と利点

  • 保守性が高い : ユニット単位で機器の点検・交換が可能であり,他のユニットへの影響を採用減に抑えられる。
  • 拡張性に優れる : 電力需要の増加に応じてユニットを追加することで,柔軟に対応できる。
  • 構成がシンプル : 母線構成が複雑でないため,設計・施工が比較的容易。
  • 経済性 : 必要最小限の機器構成で済むため,初期投資が抑えられる。

参考文献

  • 電気学会,「改訂版 発電・変電」
  • 令和6年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問2「変電所の母線方式及び母線保護リレー」
  • 平成30年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問2「変電所母線などの結線方式」
発電・変電

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更新履歴

  • 2022年10月19日 新規作成
  • 2023年8月12日 二重母線 1 ブスタイ方式,二重母線 1・1/2 ブスタイ方式の母線形態を追加
  • 2024年7月6日 誤記修正
  • 2024年9月8日 目次とグループ「電気主任技術者」を貼り付け
  • 2024年11月16日 参考文献に「令和6年度 第一種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問2」を追加
  • 2025年9月21日 ユニット方式の説明を大幅加筆,記事の概要,検索エンジン向けタイトル,SNS 向けタイトルを追加
  • 2025年11月22日 参考文献に「改訂版 発電・変電」を追加し,本文全体を加除修正