同期機の過渡現象計算に用いられる時定数は,以下で扱う電流の初期過渡,過渡及び直流の変化成分の初期値からの変化量が初期値から最終値までの量の 63.2 % となるのに要する時間である。
直軸開路初期過渡時定数 ${T_\text{d0}}''$ は電機子巻線回路時の直軸制動巻線回路時定数であり,直軸短絡初期過渡時定数 ${T_\text{d}}''$ は電機子巻線閉路時の直軸制動巻線回路時定数である。
${T_\text{d}}''$ は三相突発短絡電流の交流分の最初の数サイクル(初期過渡)の急激な減衰を定める時定数であり,${T_\text{d}}'' = $ $\displaystyle \frac{{X_\text{d}}''}{{X_\text{d}}'}$ $\times {T_\text{d0}}''$ となる。
直軸開路時定数 ${T_\text{d0}}'$ は電機子巻線開路時の界磁開路時定数であり,直軸短絡過渡時定数 ${T_\text{d}}'$ は電機子巻線閉路時の界磁回路時定数である。
${T_\text{d}}'$ は三相突発短絡電流の交流分から前述の初期過渡の急激な減衰電流を除外した電流の減衰を定める時定数であり,${T_\text{d}}'$ = $\displaystyle \frac{{X_\text{d}}'}{X_\text{d}}$ $\times {T_\text{d0}}'$ となる。
電機子時定数 $T_\text{a}$ は,電機子回路の直流分電流に対する時定数で,突発短絡電流の直流分の減衰を定める時定数であり,
\[ T_\text{a} = \frac{X_2}{2\pi f R_a} \]
となる。
ただし,$f$ は周波数,$R_\text{a}$ は電機子巻線抵抗である。
なお,解答群において,${X_\text{d}}''$ は直軸初期過渡リアクタンス,${X_\text{d}}'$ は直軸過渡リアクタンス,$X_\text{d}$ は直軸同期リアクタンス,$X_1$ は正相リアクタンス,$X_2$ は逆相リアクタンス,$X_0$ は零相リアクタンスである。
参考文献
更新履歴
- 2022年7月15日 新規作成