本稿では,ボイラの損失について述べる。
未燃分損失
燃料の燃えかすのなかにごく少量残る,未燃分(主に炭素分)による損失熱量である。
石炭燃料のほうが重油燃料,天然ガス燃料より多いが,いずれも 1 [%] 未満で,大容量ボイラではほぼ零である。
不完全燃焼による損失
燃料の不完全燃料による熱量損失であり,煙道ガス中に残る水素ガス(H2),一酸化炭素ガス(CO),炭化水素ガス(CH)がある。
これらのうち,最も生じやすくて,損失が大きいのは一酸化炭素ガスである。
排ガス損失
煙道ガスの保有する熱量であり,乾き排ガス損失とも呼ばれる。
排ガスの量,比熱および外気との温度差に依存し,ボイラ損失中で最も大きい。排ガス中にすすが含まれる場合は,その保有熱量もこの損失に加える。
排気中の水蒸気の蒸発熱による損失
排気中の水分を水蒸気として放出することによる損失である。
燃焼用空気中の固有水分,燃料中の水分,燃料の燃焼により生成された水分の蒸発熱がある。
石炭燃焼の場合は,ボイラ熱損失中で最も大きくなることもある。
放射伝熱損失
ボイラ熱などボイラ本体から外部(大気中)へ放射される熱損失である。
保温効果のよいボイラでは非常に少なく,0.2 ~ 0.3 [%] 程度である。
参考文献
- 平成10年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問5「ボイラの損失」
更新履歴
- 2022年6月26日 新規作成