フィードバック制御系の特性
フィードバック制御系の周波数特性は,一般に開ループ特性と閉ループ特性とに分けて取り扱われる。
開ループ特性からは,ゲイン余裕及び位相余裕が重要な特性量として求められ,制御系の安定性を表す尺度としてよく用いられる。
ゲインが 0 [dB] のときの角周波数をゲイン交点(交差)周波数(gain crossover frequency)と呼び,速応性を表す目安になり,この周波数において位相余裕(PM : phase margin)が定義される。また,位相が 180 ° 遅れるときの角周波数においてゲイン余裕(GM : gain margin)が定義される。
閉ループ特性では,主としてゲイン特性に注目する。そのピークゲインが制御系の安定性を表す尺度として重要であり,かつ,このときの角周波数は速応性を表す特性量である。
設計仕様を与える尺度
フィードバック制御系の設計仕様には,周波数領域及び時間領域における尺度がある。
前者の周波数領域における設計においては,安定性の使用を与える尺度としてゲイン余裕や位相余裕があり,また,速応性の仕様を与える尺度としてゲイン交差角周波数や位相交差角周波数がある。
これらは開ループ周波数特性に着目した尺度として利用されている。
例えば,開ループ(一巡)伝達関数が $\displaystyle G(s) = \frac{K}{s(Ts+1)}$ で与えられる場合,ゲイン交差角周波数を 1 [rad/s] に,位相余裕を 45 [°] に設定するには,$K = \sqrt{2}$,$T=1$ [s] を選べばよい。
一方,閉ループ周波数特性に着目した場合には,安定性の尺度としてピーク値(共振値),速応性の尺度として帯域幅などが利用されている。
参考文献
更新履歴
- 2022年2月17日 新規作成