通信システムの急速な普及と拡大に伴って,照明設備の省エネルギーを図ることを目的に,照明制御システムが採用されるようになった。
一般に照明の制御方法には,手動で操作する方法とタイマーやセンサなどを用いて自動的に制御する方法とがある。
照明制御システムでは,ランプの調光や点滅を時間的及び空間的にパターン化し,タイムスケジュールに従って自動的に運転する方法及びセンサの検知機能と連動させて運転する方法が採られる。
センサとしては,光電池などの光起電効果を応用した光センサ,人体が発する電磁波を集電形赤外線センサなどで検出する人感センサなどがよく用いられる。
一方,照明設備の消費電力量は,照明器具 1 台当たりの消費電力,照明器具数量及び点灯時間の積であるので,照明制御システムはこれら三つの要因を制御することでもある。
このうちの照明器具数量は,光束法の照明計算に基づけば五つの要因で決まる。
この五つの要因を用いて消費電力量を説明すると,照明制御システムは,ランプ光束を変化させることによって平均照度を制御するもの,及び空間的な作業面の面積を制御するものである。
光束法による照度計算
光束法は,部屋の全般照明による照度計算に使用される手法の一つで,照明器具が持つ固有の光束値を利用し,部屋の大きさ・天井高さ・壁面の反射率から平均照度を求める計算方法である。
室の平均照度が簡易に求められるので,照明設計の基本とされる。
平均照度 $E$ [lx] を求める基準の計算式は次のとおり。
\[ E = \frac{F \times N \times U \times M}{A} \]
ただし,$A$ は床面積 [m2],$F$ は光源光束 [lm],$N$ は光源個数,$U$ は照明率,$ M$ は保守率である。
なお,照明率 $U$ と保守率 $ M$ の説明は以下のとおり。
- 照明率 $U$ とは,照明施設の基準面に入射する光束の,その施設に取り付けられた個々のランプの全光束の総和に対する比(JIS Z 8113「照明用語」)のことである。対象室が,照明の光源から発せられた光をどれだけ照明対象に届けられるかを表す。
- 保守率 $ M$ とは,照明施設をある一定の期間使用した後の作業面上の平均照度の,その施設の新設時に同じ条件で測定した平均照度に対する比のことである。
参考文献
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平均照度の計算法|照明設計資料|パナソニック照明設計サポート P.L.A.M.|照明器具|電気・建築設備エコソリューション|法人のお客様|Panasonic
- 平成23年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 機械 問6
更新履歴
- 2022年2月16日 新規作成
- 2022年2月17日 「光束法による照度計算」を追加