目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

コンバインドサイクル発電の熱サイクル

コンバインドサイクル発電(combined-cycle power generation)は,ガスタービン発電の基本熱サイクルであるブレイトンサイクル(Brayton cycle)と汽力発電の基本熱サイクルであるランキンサイクル(Rankine cycle)を組み合わせることにより,プラント熱効率を飛躍的に高めた発電方式である。

コンバインドサイクル発電における主要機器として,空気圧縮機,燃焼器,ガスタービン,排熱回収ボイラ,蒸気タービン,発電機などが挙げられる。

図は,あるコンバインドサイクル発電の理想熱サイクルの一例である。この熱サイクル線図で,空気圧縮機に相当する軌跡は 1 → 2 で,排熱回収ボイラに相当する軌跡は 6 → 7 である。

図 コンバインドサイクル発電の理想熱サイクル線図

図 コンバインドサイクル発電の理想熱サイクル線図

熱効率

近年,ガスタービン入口の燃焼ガス温度の高温化など,コンバインドサイクル発電の熱効率を高める方策により,熱効率は約 60 % (低位発熱量基準)に達している。

コンバインドサイクル発電の熱効率 ηC は,ガスタービンの熱効率を ηG,蒸気タービンの熱効率を ηS とすると,

ηC = ηG + (1 - ηG) ηS

と表される。この ηC を向上させるためには,ガスタービンの入口ガスまたは燃焼温度を上昇させることが最も効果的である。

ブレイトンサイクル

断熱圧縮,等圧加熱,断熱膨張,等圧冷却から構成される熱力学サイクルであり,ジュールサイクルとも呼ばれる。

ランキンサイクル

ボイラ(蒸気発生器)と蒸気タービン(蒸気機関)を主たる構成要素とする熱力学サイクルである。

この熱機関の理論を,最初にサイクルとして確立したイギリスの工学者で物理学者のウィリアム・ランキンの名にちなんでいる。

石炭ガス化コンバインドサイクル発電

石炭ガス化コンバインドサイクル発電(IGCC : Integrated coal Gasification Combined Cycle)は,石炭を部分酸化することにより一酸化炭素や水素を主成分とするガス燃料に変換する石炭ガス化炉,その生成ガスから主としてばいじんや硫黄などを除去するガス精製装置,その生成ガスを燃料としたガスタービンコンバインドサイクル発電プラントを組み合わせた発電方式である。

この発電方式は,一般的なコンバインドサイクル発電と同様に,ガスタービン燃焼温度の高温化により熱効率が向上することから,今後の石炭火力発電の二酸化炭素排出削減方策として期待されている。

参考文献

更新履歴

  • 2021年11月29日 新規作成
  • 2021年12月5日 ブレイトンサイクル,ランキンサイクルの説明を追加
  • 2022年5月22日 参考文献に「平成21年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問2」を追加
  • 2022年6月4日 参考文献に「平成13年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問6」を追加
発電・変電

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