水車の無拘束速度
ある有効落差,水口開度,吸出し高さ*1(反動水車の場合で吸出管の高さ相当)において無負荷運転させたとき,回転速度は無制限に上昇せずに一定の速度に落ち着く。
この速度を無拘束速度(runaway speed)という。
水車の無拘束速度は,ペルトン水車(Pelton turbine)*2やフランシス水車(Francis turbine)*3では一般に最高落差時に最大となり,ペルトン水車の場合,定格回転速度の概ね 1.5 ~ 2.0 倍,フランシス水車の場合,定格回転速度の概ね 1.6 ~ 2.2 倍になる*4。
カプラン水車の無拘束速度は,ガイドベーンとランナベーンがオフカム状態でランナベーン角度が約 10 度付近になったとき最大となる。
なお,落差が変化する場合は,回転速度は落差の 1/2 乗に比例するから,最高落差における無拘束速度を設計上考えなければならない。
また,揚水発電所で用いるフランシス形ポンプ水車は,ランナ径が水車専用機よりも大きいため,ポンプの無拘束速度は水車専用機よりも低くなる。
フランシス形ポンプ水車の揚水始動時には,始動トルクを軽減するため,圧縮空気発生装置を用いて吸出管の水面を下げる。
水車,発電機及び付属装置は,この最大無拘束速度において,2分間安全に運転することができるものでなければならないことになっている。
水車の負荷遮断
水車の負荷遮断試験は,発電運転中に電力系統事故などにより,負荷が遮断された場合,水車の回転速度,発電機電圧及び水路内水圧などの変動値が保証値を超えることなく,水車,発電機を安全に,無負荷運転に移行し得ることを確認する目的で実施する。
なお,高落差ポンプ水車で水圧変動が大きい場合には負荷遮断時の過渡最大回転速度が,最大無拘束速度より大きくなる場合があるので,注意を要する。
参考文献
- 平成30年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 問1
- 平成28年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 問1
- 平成21年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 問1
- 平成10年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 問1「水車の無拘束速度及び負荷遮断試験」
[rakuten:rainworld:10000145:detail]