本記事では、特別高圧(66〜154 kV)の地中ケーブルを用いて送電を行う際の設計上の留意点を、充電電流・放熱・絶縁の3つの観点から整理し、架空送電線と比較しながら解説する。電験二次試験(電力・管理)でも頻出のテーマであり、理解しておくべき重要項目である。
充電電流の観点
留意点
地中ケーブルは架空送電線に比べて作用静電容量が約20倍と大きい。このため、ケーブル長が長くなるほど無効電力が増加し、有効電力送電に限界が生じる。また、軽負荷時にはフェランチ効果による電圧上昇が顕著となる。
対策
- ケーブル両端などに分路リアクトルを挿入し、静電容量による無効電力を補償する。
- 絶縁体には誘電率の小さい材料を用いて静電容量を低減する。
放熱の観点
留意点
地中ケーブルは地中に埋設され、導体周囲が絶縁物で覆われているため、空気中で自由に対流冷却できる架空送電線に比べて放熱性能が低い。その結果、温度上昇限界による送電容量の制約が厳しくなる。
対策
- 絶縁材料の耐熱性を向上させ、最高許容温度を高くする。
- ケーブル冷却流体などを用いた強制冷却により放熱性を改善する。
- 絶縁物の誘電損を低減し、内部発熱を抑える。
- 導体抵抗を低減し、ジュール損を抑制する。
地中ケーブルの絶縁の観点
留意点
架空送電線では絶縁媒体が大気であり、放電が生じても送電停止により容易に回復する。一方、地中ケーブルでは絶縁媒体が固体絶縁物であるため、絶縁破壊が発生すると絶縁物が損傷し、ケーブル交換を伴う大規模な修理が必要となる。
このため、以下の点に特に注意する必要がある。
- 絶縁破壊時の損傷が大きく、復旧に時間を要するため、より厳密なサージ解析と過電圧対策が必要。
- 地中ケーブルはサージインピーダンスが架空線より小さいため、過電圧の影響を受けやすい。
- 大気と異なり絶縁物は入れ替わらないため、経年劣化に注意する必要がある。
対策
- 避雷器などの過電圧保護装置を適切に配置する。
- 絶縁協調を十分に考慮し、機器間の絶縁レベルを適切に設定する。
参考文献
- 平成22年度 第二種 電気主任技術者 二次試験 電力・管理 問2