メカトロニクス*1において用いられるセンサ*2の原理,扱う物理量,センサ例を下表に示す。
センサの原理 | センサが扱う物理量 | センサ例 |
---|---|---|
ピエゾ抵抗効果 | 圧力 | 半導体ストレインゲージ |
ゼーベック効果 | 異種金属の 2 接点間の温度差 | 熱電対 |
ホール効果 | 磁界 | 半導体磁器センサ |
コリオリの原理 | 慣性力 | ジャイロスコープ |
光起電力効果 | 光エネルギー | フォトダイオード |
ピエゾ抵抗効果(piezoresistive effect)
半導体や金属に機械的な歪を加えたときにその電気抵抗が変化する効果である。
圧抵抗効果ともいう。
ピエゾ電気効果(または圧電効果)と比較して,圧抵抗効果は電気抵抗のみに影響を及ぼし,電位には直接の影響を及ぼさない。
ストレインゲージ
メカトロニクス分野で多用されている圧力センサとして,ストレインゲージが挙げられる。これは,素子のひずみで抵抗値が変化することを利用したセンサである。
ストレインゲージは,次のような特徴をもつ 2 種類の素子で分類される。
特に抵抗変化率 $\displaystyle \frac{\Delta R}{R}$ のひずみ $\epsilon$ に対する比 $\displaystyle K(=\frac{\Delta R/R}{\epsilon})$ はゲージ率と呼ばれ,この値はストレインゲージの素子によって大きく異なる。
金属ストレインゲージ
ひずみが発生すると,金属の長さが変化し,素子の電気抵抗が変化する性質を利用したものである。上記の $K$ が 2 程度であり,抵抗の変化量が小さい。
半導体ストレインゲージ
ひずみが発生すると,キャリア密度や移動度が変化するピエゾ抵抗効果によって素子特性そのものの抵抗率が変化する性質を利用しており,$K$ も 100 ~ 300 と大きく,広く普及してきている。
また,この電気抵抗の温度特性は金属と異なり,温度が高くなると電気抵抗が低くなる性質がある。
これらのひずみゲージの微小な抵抗変化を測定するため,一般的には,測定抵抗を含んで四つの抵抗をブリッジ状に配置して,中間点の電位差を測定するホイートストンブリッジ回路が利用される。
ゼーベック効果(Seebeck effect)
金属や半導体の棒状の試料の両端に温度差を与えると,温度差に比例した電圧が生じることが知られている。
この現象はゼーベック効果(Seebeck effect)と呼ばれ,ゼーベック効果を利用して熱と電気を変換する技術は熱電交換と呼ばれる。
熱電交換によって発生する電圧は以下のように表すことができる。
\[V = -\alpha \Delta T \]
ただし,$V$ は起電圧,$\Delta T$ は温度差であり,$\alpha$ はゼーベック係数と呼ばれる物質に依存する値である。
伝導キャリアが電子ならば $\alpha \lt 0$,ホールならば $\alpha \gt 0$ となる。
ホール効果(Hall effect)
電流の流れているものに対し,電流に垂直に磁場をかけると,電流と磁場の両方に直行する方向に起電力が現れる現象。
コリオリの力(force de Coriolis)
回転座標系上で移動した際に移動方向と垂直な方向に移動速度に比例した大きさで受ける慣性力の一種である。
ジャイロスコープ(gyroscope)とは,物体の角度や角速度あるいは角加速度を検出する計測器ないし装置。
ジャイロと略されることもある。
光起電力効果(Photovoltaic effect)
物質に光を照射することで起電力が発生する現象である。