目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

「目指せ!電気主任技術者~解説ノート~」を開設しました

私は,第一種 電気主任技術者,第二種 電気主任技術者,第三種 電気主任技術者の免状を保有し,電力業界に従事している技術者です。

このブログでは,過去,電気主任技術者試験に出題された問題を基にした解説ノートを掲載しています。

電気主任技術者試験の解説ノートを活用し,皆さんも電気主任技術者の合格を目指してください。

電気主任技術者とは

電気事業発展の一角をなす制度として,明治時代に施行された電気事業取締規則の中で主任技術者を置くことが明確化され,以降保安技術が発展することとなる。

電気主任技術者制度は我が国における電気保安の安全・安心を確保する制度であるが,電気主任技術者の高年齢化,外部委託受託者の入職者減など将来的に制度を安定的に維持するのが困難になっている。

電気主任技術者制度の沿革

1896 年(明治29年

電気事業取締規則(明治29年5月9日逓信令第5号)により,初めて主任技術者の精度が取り入れられた。

当時の主任技術者は現在のような試験により選出されるものではなく,学識経験のある人物が選出されていた。

1911 年(明治44年

電気事業主任技術者資格検定規則(明治44年9月5日逓信省令第27号)が制定され,明治44年10月1日の旧電気事業法明治44年法律第55号)の施行により,初めて資格検定による電気主任技術者の制度が始まった。

この規則では制度そのものは,現在の試験制度と似たようなものとなっていたが,試験科目等は現在とかなり異なっていた。

しかし,この制度により学歴のない技術者にも主任技術者になる機会が生まれた。

1965 年(昭和40年)

電気事業法(昭和39年法律第170号)が昭和40年7月1日に施行され,現行の電気主任技術者制度が始まった。

当時は法54条に資格の根拠条文が置かれていた。

同法附則により,旧法の電気事業主任技術者は,新法の電気主任技術者とみなされた。

1995 年(平成7年)

電気事業法の大改正が平成7年12月1日に施行され,資格の根拠条文が法44条となった。

主任技術者の職務

主任技術者は,事業用電気工作物の工事,維持及び運用に関する保安の監督の職務を誠実に行わなければならない。

電気主任技術者は,保安規程に基づき,事業用電気工作物の工事,維持及び運用に関する監督を行う。

第一種・第二種 電気主任技術者試験

電気主任技術者試験は,主任技術者免状の種類ごとに,事業用電気工作物の工事,維持及び運用の保安に関して必要な知識及び技能について,経済産業大臣が行う。

第一種 電気主任技術者試験は,すべての事業用電気工作物の主任技術者として必要な知識について,次の方法・内容により,一次試験と二次試験(いずれも筆記試験)が行われる。

第二種 電気主任技術者試験は,電圧 17 万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者として必要な知識について,次の方法・内容により,一次試験と二次試験(いずれも筆記試験)が行われる。

一次試験

次の 4 科目について,科目別に試験が行われる。

各科目の解答方法は,マークシートに記入する多肢選択方式である。

理論

電気理論,電子理論,電気計測及び電子計測

電力

発変電所及び変電所の設計及び運転,送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気材料

機械

電気機器,パワーエレクトロニクス,電動機応用,照明,電熱,電気化学,電気加工,自動制御,メカトロニクス並びに電力システムに関する情報伝送及び処理

法規

電気法規(保安に関するものに限る。)及び電気施設管理

二次試験

次の 2 科目について試験が行われる。

各科目の解答方式は,記述方式である。

電力・管理

発変電所及び変電所の設計及び運転,送電線路及び配電線路(屋内配線を含む。)の設計及び運用並びに電気施設管理

機械・制御

電気機器,パワーエレクトロニクス,自動制御及びメカトロニクス

第三種 電気主任技術者試験

電圧 5 万ボルト未満の事業用電気工作物の主任技術者として必要な知識について,次の 4 科目について科目別に試験が行われる。

各科目の解答方式は,マークシートに記入する五肢択一方式である。

科目と科目の内容は,第一種・第二種 電気主任技術者の一次試験と同じである。

電気主任技術者試験の難易度

1997年度(平成9年度)以降における第一種 電気主任技術者試験と第二種 電気主任技術者試験の合格率の推移を調べたところ,下図のようになる。

第一種および第二種 電気主任技術者試験の合格率の推移

第一種および第二種 電気主任技術者試験の合格率の推移

ほとんどの年度において,合格率は 2 ~ 6 % で推移していることがわかる。

第一種 電気主任技術者試験と第二種 電気主任技術者試験は,合格率が低く,大変難しい試験であると言える。

試験の難易度

電気主任技術者は需要が高い資格である割には試験の難易度は高く,第三種ですら例年の合格率が 10 % 未満の難関国家資格である。

電験一種は電気系資格の最高峰というだけでなく,国家資格試験全体で見ても医師国家試験や司法試験,公認会計士試験,IT ストラテジスト試験などと並び最難関級の部類に属するといわれている。

電験一種は「神」扱い

第一種 電気主任技術者は,すべての事業用電気工作物の工事,維持及び運用の保安の監督を行うことが出来る。

それゆえ,第一種 電気主任技術者は,「神」扱いされている。

qr.ae

一説によれば,第一種 電気主任技術者は,電気が見えるらしい。

しかし,第一種 電気主任技術者の免状を持つ私は,電気を見ることができていない。

姉妹サイト

電気主任技術者試験の過去問題の解答と解説したページを作成しています。

解説ノートと合わせて,ご利用ください。

masassiah.web.fc2.com

参考文献

  • 西村 和則「電気設備管理と保全品質の向上~総論~」(電学誌,142 巻 3 号,2022年)
  • 佐藤 直之「中小規模需要設備の保全品質向上技術」(電学誌,142 巻 3 号,2022年)

更新履歴

  • 2021年9月1日 新規作成
  • 2021年12月5日 第一種・第二種 電気主任技術者電験一種は「神」扱いを追加
  • 2022年3月5日 「電気主任技術者とは」を追加
  • 2022年3月6日 主任技術者の職務を追加