ペルトン水車(Pelton turbine)は,水流の衝撃を利用した衝動水車(impulse turbine)*1,タービンの一種である。
ペルトン水車とは
衝動水車は,水の有するエネルギーを全て運動エネルギーに変えてランナに作用させるものである。
羽根車に対して接線方向から水流を入射し,その衝動を利用して回転する水車である。
効率が高く,発電用水車として用いられる。
ペルトン水車は,高い水圧を利用した高落差(落差 200 m 以上)で,流量の比較的少ない場所に用いられ,比速度は小さい。
ペルトン水車の主要構成部品
ペルトン水車の主要構成部品は円盤にバケットを取り付けたランナとニードル弁の付いたノズルのみである。
水圧鉄管から高圧水を先端を細くしたノズルですべて速度エネルギー(速度水頭)に変え,大気中にジェット流を噴出させる。
このジェット流をバケットに衝突させてランナを回転させる構造の水車である。
ランナ
ランナはジェットを受けるバケットとその取付部であるディスクとからなる。
ランナはバケットをリーマボルトなどでディスクに取り付けたものと,ディスクとともに一体鋳造したものからなる。
ペルトン水車の効率を高めるため,1 個のランナには 15 ~ 30 個のバケットを取り付ける。
ノズル
ノズルは水圧管につながり,これによって水の圧力水頭を速度水頭に変え,この水をジェットとしてバケットに作用させる。
ノズル数によって単射,2 射,4 射,6 射などがある。
一般に横軸形が多いが,1 個のランナに対して多くのノズルを取り付ける場合は縦軸形とする。
ニードル弁
ノズルでは,負荷に応じて使用水量を調整するため,ノズル内にニードル弁を設け,これを動かしてジェットの断面積を変える。水車の負荷が急激に減少したときは,デフレクタでバケットにあたるジェットをそらせておいて,徐々にニードル弁を閉じ,水圧管内の水圧上昇をできるだけ抑える。
水車を停止する場合,回転の逆方向からバケットの背面に少量の噴射水をあててブレーキ作用させるジェットブレーキを備えている。
デフレクタ
デフレクタは,ノズルとランナとの間にあって,負荷遮断時などにランナのジェットを一時さえぎり,水車の速度上昇を抑制するもので,その間にノズルを徐々に閉鎖することにより,水圧鉄管内の水圧上昇を制限することができる。
ペルトン水車の特徴
ペルトン水車の特徴は,次のとおりである。
- 流水の速度が変わらないので,負荷変化に対して効率変動が少ない。
- 急激な負荷変化でも水圧上昇を低く抑えることが可能である。
- 吸出管がないため,排棄損失*2が大きくなる。
ペルトン水車の適用例
ペルトン水車の適用例としては,黒部川第四発電所(落差 580 m,出力 9.58 万 kW,回転数 360 rpm)が有名である。
参考文献
- 「新インターユニバーシティ 電気エネルギー概論」,オーム社,2008年12月15日 第1版
- 令和6年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問1「水力発電所」
- 令和4年度 下期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問2「水車」
- 令和元年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 電力 問1
- 平成29年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問1
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更新履歴
- 2021年11月5日 新規作成
- 2022年5月14日 参考文献に「平成29年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問1」を追加
- 2025年8月10日 ペルトン水車の比速度は小さい旨を追加
- 2025年9月21日 構成を見直し,カスタム URL を "pelton_turbine" に変更,記事の概要,検索エンジン向けタイトル,SNS 向けタイトルを追加
- 2026年3月28日 参考文献に「令和6年度 上期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問1」を追加
- 2026年3月29日 参考文献に「令和4年度 下期 第三種 電気主任技術者試験 電力 問2」を追加

