目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

エネルギー基本計画

2024年,政府は中長期的なエネルギー政策の指針となる「エネルギー基本計画」の改訂に乗り出す。

2024年より議論を行い,第七次エネルギー基本計画では,2035 年度以降の電源構成を策定する。

電力の安定供給と脱炭素の両立を図るため,発電時に二酸化炭素を排出しない原子力発電と再生可能エネルギーをどう位置づけるかが注目される。

エネルギー政策基本法

平成14年(2002年)に制定されたエネルギー政策基本法により,政府はエネルギー基本計画を定めなければならない。

エネルギー政策基本法の目的

エネルギー政策基本法 第一条 目的は,以下のように定められている。

この法律は、エネルギーが国民生活の安定向上並びに国民経済の維持及び発展に欠くことのできないものであるとともに、その利用が地域及び地球の環境に大きな影響を及ぼすことにかんがみ、エネルギーの需給に関する施策に関し、基本方針を定め、並びに国及び地方公共団体の責務等を明らかにするとともに、エネルギーの需給に関する施策の基本となる事項を定めることにより、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進し、もって地域及び地球の環境の保全に寄与するとともに我が国及び世界の経済社会の持続的な発展に貢献することを目的とする。

エネルギー基本計画

エネルギー政策基本法 第十二条 第1項は,以下のように定められている。

政府は、エネルギーの需給に関する施策の長期的、総合的かつ計画的な推進を図るため、エネルギーの需給に関する基本的な計画(以下「エネルギー基本計画」という。)を定めなければならない。

また,同条 第2項では,エネルギー基本計画で定める事項について記載されている。

  1. エネルギーの需給に関する施策についての基本的な方針
  2. エネルギーの需給に関し、長期的、総合的かつ計画的に講ずべき施策
  3. エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために重点的に研究開発のための施策を講ずべきエネルギーに関する技術及びその施策
  4. 前 3. に掲げるもののほか、エネルギーの需給に関する施策を長期的、総合的かつ計画的に推進するために必要な事項

エネルギー基本計画の変遷

第一次エネルギー基本計画(2003年10月)

原子力発電所を基幹電源として推進。

第二次エネルギー基本計画(2007年3月)

原子力発電所の新設,建て替えによる「原子力立国」の実現を掲げた。

第三次エネルギー基本計画(2010年6月)

14 基以上を新増設し,原子力発電と再生可能エネルギーの比率を 70 % に高めることを掲げた。

第四次エネルギー基本計画(2014年4月)

2011年3月の東京電力 福島第一原子力発電所の事故を踏まえ,原子力発電所を重要なベースロード電源としながら,依存度を可能な限り低減することを掲げた。

第五次エネルギー基本計画(2018年7月)

第5次に当たるエネルギー基本計画では,2030 年のエネルギーミックスの確実な実現へ向けた取組の更なる強化を行うとともに,新たなエネルギー選択として 2050 年のエネルギー転換・脱炭素化に向けた挑戦を掲げる。

再生可能エネルギーを主力電源化する方針が掲げられた。

原子力発電所の安定性の向上と再稼働を図りながらも,依存度を可能な限り低減することは継続。

第六次エネルギー基本計画(2021年10月)

再生可能エネルギーは,温室効果ガスを排出しない脱炭素エネルギー源であるとともに,国内で生産可能なことからエネルギー安全保障にも寄与できる有望かつ多様で,重要な国際エネルギー源である。

原子力は,燃料投入量に対するエネルギー出力が圧倒的に大きく,数年にわたって国内保有燃料だけで生産が維持できる低炭素の準国産エネルギー源として,優れた安定供給性と効率性を有しており,運転コストが低廉で変動もすくなく,運転時には温室効果ガスの排出もないことから,安全性の確保を大前提に,長期的なエネルギー需給構造の安定性に寄与する重要なベースロード電源である。

化石エネルギーについては,現時点でエネルギー供給の大宗を担っており,今後も重要なエネルギー源である。一方で,脱炭素化の観点から対応が求められており,CCUS 技術や合成燃料・合成メタンなどの脱炭素化の鍵を握る技術を確立し,コストを低減することを目指しながら活用していく。

参考文献