次の文章は,「電気設備技術基準」及び「電気設備技術基準の解釈」に基づく,電力保安通信設備に関する記述である。
a) 電力保安通信設備は,架空電線路からの静電誘導作用又は電磁誘導作用により人体に危害を及ぼすおそれがないように施設しなければならない。
b) 遠隔監視制御されない変電所とその運用を行う給電所との間には,電力保安通信用電話設備を施設すること。
c) こう長 5 km 以上の高圧架空電線路には,架空電線路の適当な箇所で通話できるように携帯用又は移動用の電力保安通信用電話設備を施設すること。
d) 電力保安通信線のうち,架空電線路の支持物に施設するものを添架通信線といい,原則として架空電線の下に施設すること。
無線用アンテナ等を施設する支持物の材料及び構造
電力保安通信設備に使用する無線通信用アンテナ又は反射板(以下「無線用アンテナ等」という。)を施設する支持物の材料及び構造は,風速 60 [m/s]の風圧荷重を考慮し,倒壊により通信の機能を損なうおそれがないように施設しなければならない。
ただし,電線路の周囲の状況を監視する目的で施設する無線用アンテナ等を架空電線路の支持物に施設するときは,この限りでない。
電力保安通信用電話の施設
発電所,変電所,変電所に準ずる場所であって特別高圧の電気を変成するためのもの,発電制御所,変電制御所,開閉所,給電所及び技術員駐在所と電気設備の保安上,緊急連絡の必要がある気象台,測候所,消防署及び放射線監視計測施設等との間には,電力保安通信用電話設備を施設すること。
特別高圧架空電線路及びこう長 5 [km] 以上の高圧架空電線路には,架空電線路の適当な箇所で通話できるように携帯用又は移動用の電力保安通信用電話設備を施設すること。
電力保安通信線の施設
電力保安通信線は,機械的衝撃,火災等により通信の機能を損なうおそれがないように施設しなければならない。
架空電力保安通信線は次の 1. ,2. 又は 3. のいずれかにより施設すること。
- 通信線にケーブルを使用し,次により施設すること。
- ケーブルをちょう架用線によりちょう架すること。
- ちょう架用線は,金属線からなるより線であること。ただし,光ファイバケーブルをちょう架する場合は,この限りでない。
- ちょう架用線は,一定の要件を満たすような弛度により施設すること。
- 通信線に,引張強さ 2.30 [kN] 以上のもの又は直径 2.6 [mm] 以上の硬銅線(ケーブルを除く。)を使用すること。
- 架空地線を利用して光ファイバケーブルを施設すること。
電力保安通信線に複合ケーブルを使用し道路に埋設して施設する場合は,次の 1. ,2. 又は 3. のいずれかによること。
ただし,通信線を山地等であって人が容易に立ち入るおそれがない場所に施設する場合は,この限りでない。
- 複合ケーブルを使用した通信線を暗きょ内に施設すること。
- 複合ケーブルを使用した通信線の周囲に取扱者以外の者が立ち入らないように,さく,へい等を施設すること。
- 交通の確保その他公共の利益のためやむを得ない場合において,複合ケーブルを使用した通信線が道路を横断するときは,次のいずれかによること。
- 車両その他の重量物の圧力に耐えるように施設すること。
- 埋設深さを 1.2 [m] 以上として施設すること。
参考文献
- 令和3年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問3「電力保安通信設備」
- 平成24年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問3「電力保安通信用電話設備の施設と電力保安通信線の施設」
- 平成19年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問3「電力保安通信設備」