電力系統や産業プラントなどの大規模システムにおいて,遠方から伝送路を介して,多数の制御所を監視制御する遠隔監視制御装置が利用されている。
このような装置の伝送符号方式には,伝送制御手順の種類によって,サイクリック手順と,HDLC (High level Data Link Control) 手順があり,専用の通信ネットワークプロトコルに基づくネットワーク形態が採用されている。
サイクリック手順
サイクリック手順は,フレーム単位の情報をサイクリックに伝送する方式であり,符号の誤り検定方式として2連送反転照合とパリティ検定により,伝送信頼度を確保している。
CDT (cyclic digitaldata transmission equipment)
連続的に変化する複数の情報を高信頼度・高効率に伝送するため,データを周期的にサンプリングした上で,符号化(コード変換)してデジタル伝送する装置である。
コンピュータとの結合やデジタル表示が容易であること,遮断器等の On-Off 情報や電圧等の数値情報の伝送も可能であること,数ワードを使って任意情報を伝送するメッセージ伝送も可能であること等から,従来のアナログテレメータやスーパービジョンに代わって広範囲に採用されるようになった。
1969 年に電気学会通信専門委員会で CDT 装置の仕様基準をとりまとめ,方式の統一化が進められ,遠隔監視制御装置も CDT 方式のものが主流を占めていた。
HDLC 手順
HDLC 手順は,情報伝送フレーム単位に,情報要求のつど伝送し,伝送先からの受信確認応答を確認して伝送を完了する方式であり,そのフレームのうちフレームチェックシーケンスを誤り検定のフィールドとして用いて,CRC (Cyclic Redundancy Check:巡回冗長符号) 方式による誤り検出用のビット列が送られる。
HDLC 型遠方監視制御装置
変電所の監視制御の高度化および多様化が要請されており,運転情報の詳細化および処理速度の高速化が指向されてきた。
そのため,従来の CDT 型遠方監視制御装置に代わって,高速・大容量化が可能な伝送方式である HDLC 伝送方式を用いた HDLC 形遠方監視制御装置が採用されている。
HDLC 伝送方式では柔軟な情報伝送が可能なことから,単に固定情報を伝送するだけでなく,時刻付きの事故解析情報を必要時に伝送したり,従来は変電所集中監視制御システムで処理していた機能の中から現地の遠方監視制御装置での処理が効率的なものは現地分散処理を行い,その結果のみを伝送するという監視制御システムトータルとしての分散処理を行うインテリジェント・テレコン (ITC) となっている。
しかも,HDLC 伝送方式はコンピュータ間の伝送手段として汎用的に利用されているため,専用 LSI がメーカより供給されている。
この LSI を使用することで,経済性と保守性の向上を同時に達成することが可能である。
プロトコル
これらの伝送制御手順は,基本的には,OSI (Open Systems Interconnection:開放型システム間相互接続) 参照モデルのデータリンク層で規約されているプロトコルに位置づけられる。
最近では,インターネットプロトコルに基づくネットワーク形態の導入が進められており,OSI 参照モデルのトランスポート層に対応する UDP (User Datagram Protocol),TCP (Transport Control Protocol) などのプロトコルを活用して,伝送の標準化・統一化を図る一方,オープンネットワークからの分離のために,ファイアウォールなどによりセキュリティの確保を図っている。
参考文献
- 平成18年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問7「遠隔監視制御装置」
更新履歴
- 2022年8月3日 新規作成
- 2026年3月6日 CDT,HDLC の説明を追加