目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

パワーエレクトロニクス技術を応用した送配電設備

1950 年代のダイオード開発に続く逆阻止三端子サイリスタの出現とそれ以降の各種デバイスの高電圧化・大電流化・高速化は大きな進歩を遂げ,これらを応用した半導体電力変換装置の技術分野はパワーエレクトロニクスと呼ばれ,様々な用途で利用されている*1

これらの機器を送電系統に使用して安定度向上方策を施し,電力系統を柔軟に制御することが考えられているが,これらのパワーエレクトロニクス機器を総称して FACTS(Flexible AC Transmission System)機器と呼んでおり,その代表的な応用例としては,次のようなものがある。

  • 系統安定化等を目的とした,交流と直流の電力変換機能を用いた直流送電及び送電線のない直流送電である BTB(Back to Back)装置がある。
  • 系統電圧を調整して電圧の安定化や系統安定度の向上を図る目的とした,静止形無効電力補償装置がある。特に自励式変換器を用いた装置は,SVG 又は STATCOM と呼ばれている。

参考文献

更新履歴

  • 2022年5月14日 新規作成
  • 2023年10月21日 参考文献に「直流送電の利用拡大と将来の広域送電網」を追加

*1:1973年,W. E. Newell 博士が新興の学問分野であるパワーエレクトロニクスへの結束を呼びかけた結果,現在では,電気系の主要分野として確立し,社会へ浸透している。