電気設備技術基準の解釈 第52条【架空弱電流電線路への誘導作用による通信障害の防止】では使用電圧が 60 000 [V] を超える特別高圧架空電線路は,電話線路のこう長 40 [km] ごとに常時静電誘導作用による誘導電流が 3 [μA] を超えないようにすること(架空電話線が通信用ケーブルであるとき,架空電話線路の管理者の承諾を得たときは,この限りでない。)と規定されている。
この誘導電流の計算は,所定の計算式によるが,架空電線路と電話線路との距離が十分離れている部分は計算を省略している。
例えば,160 000 [V] を超える架空電線路の場合は,電話線路との距離が 500 [m] 以上離れている部分は誘導電流の算定を省略している。
また,特別高圧架空電線路は,弱電流電線路に対して電磁誘導作用により通信上の障害を及ぼすおそれがないように施設することと規定されている。
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架空電線路側における対策として,架空地線にアルミ覆鋼より線などを使用して低抵抗化を図ることや架空地線の条数を増やすことにより遮へい効果を向上させることなどが行われている。
弱電流線路側の対策としては,ルートの変更による架空電線路との離隔距離の拡大,遮へい効果の高い通信ケーブルへの張り替え,避雷器の設置による誘導電圧の低減などが実施されている。
電磁誘導作用の規定
電磁誘導作用による通信上の障害について,次のように規定されている。
特別高圧架空電線路は,弱電流電線路に対して電磁誘導作用により通信上の障害を及ぼすおそれのないように施設すること。
静電誘導作用の規定
静電誘導作用による通信上の障害について,次のように規定されている。
特別高圧架空電線路は,次の各号によるとともに,架空電話線路に対して,通常の使用状態において,静電誘導作用により通信上の障害を及ぼさないように施設すること。ただし,架空電話線が通信用ケーブルである場合,または架空電話線路の管理者の承諾を得た場合は,この限りでない。
- 使用電圧が 60,000 V 以下の場合は,電話線路のこう長 12 km ごとに,第三号の規定により計算した誘導電流が 2 μA を超えないようにすること。
- 使用電圧が 60,000 V を超える場合は,電話線路のこう長 40 km ごとに,第三号の規定により計算した誘導電流が 3 μA を超えないようにすること。
- 誘導電流の計算方法は,次によること。(以下,略)
参考文献
更新履歴
- 2022年5月5日 新規作成
- 2022年8月13日 参考文献に「平成22年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 法規 問4」を追加