回転機の有効出力 $P_2$ の有効入力 $P_1$ に対する比を効率(efficiency)という。
この効率 η は,一般に百分率で表記し,特に指定しない場合には有効出力として定格出力を用いる。
\[\frac{P_2}{P_1}\times 100 \text{ [%]} \]
機械に供給される動力(または電力)$P_1$ を入力(input),発生する電力(または動力)$P_2$ を出力(output)といい,常に出力は入力より小さい。
出力と入力との比を効率といい,一般に百分率で表し,記号 η を用いる。
実測効率と規約効率
実測効率(measured efficiency)
実測効率とは,入力および出力を直接に測定して,計算された効率をいう。
回転機に実際の負荷をかけて入力及び出力を直接測定して,これらから算出した効率を実測効率という。
電気機械のように,入力か出力のうち一方が機械的な動力の場合には,正確な測定が困難である。
規約効率(conventional efficiency)
大容量機など実際の負荷をかけることが困難な場合には,規定された方法に従って損失(total loss)を測定又は算出し,これらに基づいて,ある出力に対する入力を求め,これらから効率を算出することがある。
この方法によって算出した効率を規約効率という。
発電機の規約効率は,
効率 = 出力 / (出力 + 損失) × 100 [%]
電動機の規約効率は,
効率 = (入力 - 損失) / 入力 × 100 [%]
の形にして,出力または入力と損失とから算定される。
電気機器の効率としては,規約効率のほうが誤差が少ないため,一般に用いられる。
回転機の損失
この回転機の損失は次のように分類される。
- 無負荷鉄損,風損及び軸受摩擦損などの固定損
- 電機子巻線の抵抗損などの直接負荷損
- 界磁巻線の抵抗損などの励磁損
- 負荷に起因して導体,鉄心,金属部分などに生じる損失で2.に含まれない損失の漂遊負荷損
同期発電機の効率と損失
同期発電機の効率は発電機への機械入力に対する発電機の電気出力の比で表される。
発電機効率 [%] = 電気出力 / 機械入力 × 100 [%] = 電気出力 / (電気出力 + 全損失) × 100 [%]
同期発電機の各種損失とは以下のとおりである。
- 機械損:風損,軸受及びブラシ(ブラシがある場合)の摩擦損の合計
- 無負荷鉄損:変動磁界によって電機子鉄心と他の金属部分で発生する損失
- 電機子銅損(又は直流負荷損):電機子巻線の抵抗損
- 漂遊負荷損:電機子電流による,電機子銅損を除いた導体内の損失,及び,導体以外の金属部分と鉄心に生じる損失の合計
- 励磁回路損:界磁巻線の抵抗損,励磁装置の損失,及びブラシの電気損(ブラシがある場合)の合計
これらの損失の中で,負荷電流(電機子電流)に依存しない 1. と 2. を固定損と呼び,負荷電流に依存するものとして 3. と 4. を負荷損(又は短絡損)と呼ぶ。
参考文献
- 電気学会大学講座 電気機器工学Ⅰ(改訂版)
- 令和5年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 機械 問1「同期発電機の効率と損失」
- 平成22年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 機械 問1「回転機の効率及び損失」
electrical-engineer.hatenablog.jp
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