目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

サイクロコンバータ

サイクロコンバータ*1は,直接交流変換装置である。

サイクロコンバータの構成

出力の各相に正側の出力電流を通電するためのサイリスタ変換器と負側の出力電流を通電するためのサイリスタ変換器とを逆並列接続して構成される。

各変換器を三相ブリッジ変換器としたとき,三相出力のサイクロコンバータの全体のアーム数は 36 である。

サイクロコンバータの方式

一般的なサイクロコンバータでは,逆並列接続した 2 台の変換器は,電流の向きを切り替えるときに電流休止期間が必要である。

出力周波数の上限は,入力周波数の 1/2 倍程度である。

電流休止期間を設けずに動作させるためには 2 台の変換器の間で循環電流を流す方式を用いる。

この方式は,循環電流リアクトルを追加するなどの対策が必要で,複雑化するが,出力周波数の上限をより高くすることができる,入力無効電力をほぼ一定にすることができるなどの特長がある。

定比式サイクロコンバータ

定比式サイクロコンバータは,整流回路 2 相を一定間隔ごとに交互に動作させることによって,入力周波数より低い周波数の交流電圧を得る装置である。

回路構成は簡単である反面,出力波形がひずむ。

連続式サイクロコンバータ

連続式サイクロコンバータは,正・負の 2 群のコンバータで構成され,負荷電圧の平均値が正弦波になるように制御角を変化させる。

転流には電源電圧が用いられている。

連続式サイクロコンバータは,大容量の交流電動機の可変速駆動用電源として使われる。

サイクロコンバータの用途

サイクロコンバータは,電動機の可変速駆動電源として用いられるほか,可変速揚水発電機の交流励磁装置としても用いられている。

可変速揚水発電機の回転速度を ± 10 [%] 可変としたとき,揚水運転時の電力を一定回転速度の場合に対して ± 30 [%] 程度制御できる。

参考文献

更新履歴

  • 2022年2月15日 新規作成

*1:サイクロコンバータは,入力周波数より低い周波数の交流を得ることができる電力変換装置である。