目指せ!電気主任技術者~解説ノート~

第一種電気主任技術者の免状保有者がまとめた電気主任技術者試験の解説ノートです。

照度,光度,輝度

本稿では照度,光度,輝度について述べる。

照度

照度(illuminance)とは,物体の表面を照らす光の明るさを表す物理量で,人間の感じる量を表す心理物理量である。

国際単位系(SI)における単位はルクス(記号 : lx)またはルーメン毎平方メートル(記号 : lm m-2)が用いられる。

照度は光束発散度と同じ次元を持つが,光束発散度は平面上の光源の指標であり,照度は照射された側の指標を示す。

照度には,法線照度,水平面照度,鉛直面照度などがある。

図 点光源による照度

図 点光源による照度

円形テーブルの平均照度

今,すべての方向に $I$ = 80 cd の光度を有する点光源があり,直径 1.2 m の円形テーブルの中心直上,高さ 80 cm の位置に設置してある。

テーブルの平均照度と照明率を以下の手順で求める。

ただし,平面角 $\theta$ を回転してできる錐体の立体角 $\omega$ は,$\omega=2\pi(1-\cos{\theta})$ により求まる。

この点光源の全光束 $\Phi_0$ は,すべての方向の光度が $I$ = 80 cd であるので,1005 lm である。

また,この点光源からテーブル面に入射する光束 $\Phi_\text{T}$ は,点光源からテーブル面を見込む立体角が $\omega_\text{T}$ が 0.4π であるので,101 lm となる。

これよりテーブルの平均照度 $E$ は 89 となる。

照度計

測光量は,人間の明るさ感覚を加味した量すなわち心理物理量であるため,照度計の分光応答度特性は標準比視感度に一致していなければならない。

照度計の構成

一般形の照度計は,

  1. 斜め入射光補正グローブ
  2. 感度補正フィルタ
  3. 光電変換素子

で基本的に構成される。

照度を正しく測るには,次に示すような特性の照度計を用いる。

  • 光の入射角特性が,余弦法則に合っていること。
  • 感度補正フィルタの光の波長に対する特性が,標準分光視感効率に一致していること。
  • 点光源からの距離に対する表示値が,逆 2 乗の法則に従うこと。

床面や机上面の水平面照度の測定は,照度計の受光部を測定面に平行になるように置いて,測定者の影などが入らないように行う。

また,JIS C 1609-1*1 では,基準・規定の適合性評価などにおける,照度の信頼性が要求される場での照度測定には,AA 級以上のクラスの照度計を使用することを推奨している。

JIS C 1609-1 : 2006「照明計 第 1 部:一般計量器」

適用範囲

この規格は,昼光などの自然の光及び一般照明用光源(白熱電球,蛍光ランプ,HID ランプなど)の照度を測定する指針形及びディジタル形照度計(以下,照度計という。)について規定する。 

なお,測定システムの一部であるような照度測定器(測光器),LED などの特殊光源を測定する照度測定器,及び水中照度計などの特殊用途の照度計についてもできるだけこの規格を用いるのがよい。

階級及び主な用途
一般形精密級照度計

精密測光,光学実験などの研究室レベルで要求される高精度の照度測定に用いる。

一般形 AA 級照度計

基準・規定の適合性評価などにおける,照度値の信頼性が要求される照明の場での照度測定に用いる。

一般形 A 級照度計

実用的な照度値が要求される照度測定に用いる。

特殊形照度測定器

測定システムの一部であるような照度測定器(測光器),LED などの特殊光源を測定する照度測定器など,特定の性能項目に特化され,一般形照度計とは区別される照度測定器。

 

光度

光度は,ある方向への光の強度を表わす光の単位で,ある方向の光束の立体角密度で表される。

光度の単位は [cd] である。照度は, 1 [m2] 当たりに入射する光束で,単位は [lx] である。

輝度

輝度は,光源や照らされた面の輝きを表し,人の明るさの感覚と密接に関係する。輝度の単位は [cd/m2] である。

球面光源による照明

全光束 4 800 lm の球面光源がある。球の直径は 0.15 m で,光源の表面は均等拡散面とみなすことができる。この光源の光度 $I$ は 382 cd である。

次に,図に示すように,この球面光源 2 個(A 及び B)を室の床面から 2.1 m 上方に,4.2 m 離して設置した。

この室にはこの球面光源 2 個以外に光源はなく,室外部からの入射光もないものとする。また,室の天井面,床面,壁面,球面光源の表面などにおける反射光の影響はないものとする。

図において,球面光源 A だけを点灯したとき,球面光源 A の直下にある床面 C 点における水平面照度は 87 lx となる。また,C 点から見た球面光源 A の輝度 $L_\text{A}$ は 21 600 cd/m2 である。

次に,球面光源 A を点灯したまま,球面光源 B も点灯した。

このときの床面 C 点における水平面照度は 94 lx に増加する。また,C 点から見た球面光源 B の輝度 $L_\text{B}$ は $L_\text{A}$ に等しい。

図 球面光源による照明

図 球面光源による照明

参考文献

masassiah.web.fc2.com

更新履歴

  • 2022年1月29日 新規作成
  • 2022年2月11日 参考文献に「平成19年度 第二種 電気主任技術者 一次試験 機械 問6」を追加
  • 2022年6月18日 参考文献に「令和2年度第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問4」を追加
  • 2022年7月10日 参考文献に「平成23年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問4」を追加
  • 2023年9月2日 参考文献に「令和5年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 機械 問4」を追加

*1:JIS C 1609-1 : 2006「照明計 第 1 部:一般計量器」"Illuminance meters Part 1 : General measuring instruments"