光の発光方法は,① 熱放射によるもの,② ルミネセンスによるものの二つに大別される。
ルミネセンス(luminescence)は,熱放射以外の発光を総称したものであり,原子,分子,イオン又は電子が外部からのエネルギーを吸収して励起,イオン化又は加速するなどした後,それらが吸収したエネルギーを放射エネルギーとして再び放出する発光現象である。
ルミネセンスの種類
ルミネセンスの種類には,放電発光,ホトルミネセンス,カソードルミネセンス,エレクトロルミネセンス(電解発光),化学ルミネセンスがある。
放電発光
放電発光は,放電中で励起原子や分子が作られ,その遷移に伴い発光する現象であり,各種放電ランプがこれに当たる。
フォトルミネセンス
フォトルミネセンス(Photoluminescence : PL)は,ある種類の物質に光を照射した際に,照射光とは別の光を放出することであり,その物質中の電子が照射光で励起され,そのエネルギーを放出する際に光を放出する現象である。
物質が X 線,紫外放射,可視放射,赤外放射などを受けたときにそのエネルギーを吸収し,通常は吸収した波長よりも長波長の放射エネルギーを放出して発光する現象である。
蛍光ランプなどの蛍光灯がこれにあたる。
カソードルミネセンス
カソードルミネセンス(Cathodoluminescence : CL)は,励起に電子線を用いた場合の発光で,CRT の蛍光体がこれに当たる。
エレクトロルミネセンス(電界発光)
エレクトロルミネセンス(Electroluminescence : EL)は,物質に直接電極を付けて電界を印加して発光させる現象であり,真性 EL や発光ダイオードなどがこれに当たる。
注入形 EL と真性 EL とに区別される。
注入形 EL
注入形 EL は,電界を印加することによって電子及び正孔を注入し,その再結合過程で発光する現象である。
発光ダイオードは注入形 EL であり,その原理は以下のようになる。
半導体の p 形に正電圧,n 形に負電圧を印加し,順方向に電流を流すと,接合層に正孔と電子とが流れ込み再結合する。
このとき,正孔と電子とのエネルギー差に相当する振動数の光が発生する。
真性 EL
真性 EL は,蛍光体を分散させた薄い誘電体をサンドイッチ状に挟んだ電極両端に電圧を印加することによって発光する現象である。
有機 EL
有機 EL は,発光ダイオードと同様に,正孔と電子との再結合で発光する。
OLED(Organic Light Emitting Diode)とも呼ばれ,注入電流が効率,寿命などの特性に大きく影響する。
化学ルミネセンス
化学ルミネセンスは,化学反応により励起状態を形成し発光させるものであり,身近なものではホタルの光やケミカルライトがある。