本稿では,ガスタービン発電について述べる。
ガスタービン発電の熱サイクル
燃焼器が 1 組だけのガスタービン発電(gas turbine generation)における基本熱サイクルを単純ブレイトンサイクル*1といい,基本設備は燃焼器のほかに発電機,空気圧縮機,ガスタービンで構成される。図は単純ブレイトンサイクルの熱サイクル線図で,燃焼器に相当する軌跡は2から3である。燃焼器で発生した高温高圧の燃焼ガスをガスタービンで断熱膨張させタービン軸を回し仕事をする。受熱量を $Q_1$,放熱量を $Q_2$,各点の温度を $T_1$,$T_2$,$T_3$,$T_4$ とすれば,理論熱効率 η は次式で示される。
\[1 - \frac{Q_2}{Q_1} = 1 - \frac{T_4 - T_1}{T_3 - T_2} \]
ガスタービンの最大出力
ガスタービンは,圧縮機によって吸い込まれる空気の容積流量が一定であるため,空気の温度が低下すると,密度が高くなり重量流量が増加する。
すなわち燃焼空気流量が増加するため,燃料流量を増加させることが可能となり,その結果,出力は増加できる。
このようにガスタービンの最大出力は,吸い込まれる空気の温度によって変化する特徴を有する。
参考文献
更新履歴
- 2021年11月9日 新規作成
- 2021年11月23日 加除修正
- 2022年6月5日 参考文献に「平成12年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問1」を追加
*1:ブレイトンサイクル(Brayton cycle)は,断熱圧縮,等圧加熱,断熱膨張,等圧冷却から構成される熱力学サイクルであり,ジュールサイクルとも呼ばれる。