ペルトン水車(Pelton turbine)は,水流の衝撃を利用した衝動水車(impulse turbine)*1,タービンの一種である。
衝動水車は,水の有するエネルギーを全て運動エネルギーに変えてランナに作用させるものである。
羽根車に対して接線方向から水流を入射し,その衝動を利用して回転する水車である。
効率が高く,発電用水車として用いられる。
高い水圧を利用した高落差の水力発電に適している。
ペルトン水車の主要部品はバケットを取り付けたランナ,ノズルおよびニードル弁の三つである。
ペルトン水車は,ノズルから噴出させた水をランナに作用させて回転させる水車であり,ランナは水を受けるバケットと,その取付け部であるディスクからなる。
ノズルの内部には,負荷に応じて使用水量を調整するため,ニードルが設けられている。
ランナ
ランナはジェットを受けるバケットとその取付部であるディスクとからなる。
ランナはバケットをリーマボルトなどでディスクに取り付けたものと,ディスクとともに一体鋳造したものからなる。
ノズル
ノズルは水圧管につながり,これによって水の圧力水頭を速度水頭に変え,この水をジェットとしてバケットに作用させる。
ノズル数によって単射,2 射,4 射,6 射などがある。
一般に横軸形が多いが,1 個のランナに対して多くのノズルを取り付ける場合は縦軸形とする。
ニードル弁
ノズルでは,負荷に応じて使用水量を調整するため,ノズル内にニードル弁を設け,これを動かしてジェットの断面積を変える。水車の負荷が急激に減少したときは,デフレクタでバケットにあたるジェットをそらせておいて,徐々にニードル弁を閉じ,水圧管内の水圧上昇をできるだけ抑える。
水車を停止する場合,回転の逆方向からバケットの背面に少量の噴射水をあててブレーキ作用させるジェットブレーキを備えている。
デフレクタ
デフレクタは,ノズルとランナとの間にあって,負荷遮断時などにランナのジェットを一時さえぎり,水車の速度上昇を抑制するもので,その間にノズルを徐々に閉鎖することにより,水圧鉄管内の水圧上昇を制限することができる。
ペルトン水車の特徴
ペルトン水車の特徴は,次のとおりである。
- 流水の速度が変わらないので,負荷変化に対して効率変動が少ない。
- 急激な負荷変化でも水圧上昇を低く抑えることが可能である。
- 吸出管がないため,排棄損失*2が大きくなる。
参考文献
[rakuten:rainworld:10000145:detail]
更新履歴
- 2021年11月5日 新規作成
- 2022年5月14日 参考文献に「平成29年度 第一種 電気主任技術者 一次試験 電力 問1」を追加